エーライン株式会社

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interview
スペシャル対談

医療・介護における現在と未来。
進化の鍵は、グローバル人材が握っている。

医療・介護における業務の切り分けやグローバル人材の活用は、アメリカをはじめとする国々では、多くの施設で導入されているスタンダードな業務スタイルです。海外の医療・介護現場では、どのような業務分担がなされているのか。そして、現在の日本の状況はどのようなものなのか。今回は、長年、学校法人サンシャイン学園で学生の就職やアルバイトのサポートに取り組んでこられた出川俊郎先生をお招きし、様々な意見を交換し合いました。

海外と比べ、日本の看護師は
業務量が多く、ギャップを感じました(正木)

中:実は、正木は日本ではなく、ニュージーランドで看護師としてのキャリアをスタートさせたんですよ。

出川:すごいですね。そういう方には初めてお会いしました。

正木:看護師資格も、最初はニュージーランドで取得したんです。現地の病院の、準救急病棟といいますか、ICU(集中治療室)で治療を受けて少し状態の良くなった患者様などが移ってこられる病棟に勤務していました。

中:当時、担当の患者数はどのくらいでした?

正木:ナース1人当たり、受け持つ患者様は最大で5人ほどでした。5人担当することになると、かなり忙しいな、という感覚でしたね。

出川:5人というのは、そんなに多いという感じる数なのですか?

中:日本の場合は、7対1という看護基準も非常に充実していることとされ、1人の看護師が7人の患者を受け持つということは当たり前にあることです。5人でも慌ただしく感じるということは、つまり、ニュージーランドの看護師たちの仕事環境は、日本と比べてゆとりがあるということですね。
正木:そうですね。その上、業務範囲は、有資格者である看護師にしかできない業務に特化していました。例えば、私は、日本に帰国して初めて、ベッド(ストレッチャー)を押すという経験をしたんですよ。

中:ニュージーランドでは、移送(車椅子やストレッチャーで患者様の移動を補助すること)をしなかったんですか?

正木:しなかったですね。移送の際は、もちろん看護師も一緒についていくのですが、ベッドや車椅子を押したり、点滴台を運んだりといった業務は、オーダリー(運搬係)が担当していました。看護師は与薬(患者様にお薬をお渡しすること)など、患者様と直接、接する業務がメインで、力仕事はほとんどありませんでしたね。

中:看護師は押さない、持たないということですね。一日の業務量としては、どんなイメージになるのでしょう。

正木:まず朝は、朝食時の与薬ですね、薬をお渡しするのは看護師の役割です。ですが、食事介助は専門のスタッフが担当します。

出川:おや、それは日本でも同じではないのですか? 食事介助をしてくださる方が別にいて…

中:いえ先生、実はそういう医療機関はごくわずかで、看護師がやるのがまだまだ一般的なんですよ。

出川:そうなんですか。予想以上に、日本の看護師さんの業務量は多そうですね。
正木:ええ、ですから日本に帰国直後は、かなりギャップを感じました。例えば日本では、転倒や転落の危険がある患者様には、夜間はセンサーマットを使って動きを把握したり、トイレなどちょっとした移動時にもナースコールを押していただいたり、というのが一般的。でもニュージーランドでは、そういう患者様には、24時間体制で看護サポートが付くので、そういったものは必要なかったんです。抑制(布や紐などでお身体をベッドに固定すること)も絶対しませんでした。

中:抑制はしない。看護サポートが付くことで、看護師の負担が減るだけではなく、患者様にとってもより良い環境が実現できているわけですね。

正木:看護師は、患者様と直接、接する業務をメインに手掛け、それ以外のことはほかのスタッフに任せるというイメージですね。例えば、有資格者ではなくてもできることですが、清拭(お身体を拭くこと)は担当していました。その他、ドクターの介助などが看護師の主な業務でした。

出川:なるほど。海外では、それほどまでに役割分担が徹底されているのですね。

中:実は私も、これまでにアメリカをはじめ、様々な国の医療や介護の環境を見てきましたが、アメリカでは院内で働いていらっしゃる移民の方も多く、病棟の表示は英語とスペイン語で書かれているほどです。役割分担も徹底されていて、移送の際にはリフトスタッフが、注射器などの医療材料を補充するには、補充専門のスタッフがいるほど。バイタルサイン測定も看護サポートが担当していました。

正木:一方で、日本の病院では、朝から看護師が配膳して、与薬も食事介助もバイタルもやる。検査があったら移送して、シーツ交換や環境整備も担当して…。

出川:何から何まで、全部やらなければならないというのが、日本の看護師の現状なのですね。

彼らの、笑顔でのコミュニケーションは、
患者様にとって大きな癒しになっています(中)

中:ですが、日本でも少しずつ、業務を切り分け、有資格者でなくてもできる業務は、看護師以外のスタッフに任せていこうという動きが出始めています。私たちA-LINEでは、特にアクティブシニア層や、留学生・外国人の活用に力を注いでいます。

出川:それで、私たちの学校からも、留学生がアルバイトで何人もお世話になっているのですよね。

中:出川先生の学校の生徒さんたちは、みなさんとても優秀なんですよ。そもそも、留学して福祉やビジネスについて学ぼうという方々なので、車椅子の扱いなどは最初から上手ですし、ちゃんと目線を患者様に会わせるといった対応面も含めて、医療機関側からも高い評価をいただいています。

出川:それは嬉しいですね。私の学校は昔から社会福祉士や介護福祉士を育成する専門学校なので、そういう分野に関心がある学生が多いのです。

中:もちろん、医療や介護については全く知らない方でも、きちんと研修を受ければ十二分に活躍できます。日本では、看護師でなければできないと思われている業務も、海外に目を向ければ、移民の方々が中心になって手掛けているわけですし。

正木:最近では、留学生・外国人の方々には、いろいろな業務を安心して任せられるんだと、医療や介護機関側にも浸透してきていますよね。

中:そうですね。活躍しているスタッフはまだまだ少数ですが、これからもっとニーズは拡大していくと予想しています。出川先生の学校の生徒さんたちにも、もっともっと当社でご活躍いただきたいですね。

出川:ありがたいお話ですね。というのも私の学校では、留学生が年々増えてきているのです。少子高齢化に伴い日本人の生徒は減少傾向にありますが、外国人の生徒は、特にこの2~3年で、ぐんと増加しました。

中:留学生の方々のアルバイト先は、どんなところが多いんですか?

出川:ほとんどが、レストランや居酒屋、工場、コンビニなどですね。

正木:やはり限られてくるのですね…。

出川:ほとんどの学生たちは、生活のためにアルバイトをしなくてはならないのですが、ネックになるのが勤務時間と勤務地です。勤務時間は留学生の場合、労働時間の制約もありますし、勤務地が遠いと学業との両立が難しくなります。でも、仕事内容に関しては、なんでもいい、どんなことでもやりますという意欲のある学生が多いです。
中:病院で働いている学生は何%くらいですか?

出川:まだ1%くらいですね。A-LINEさんでは、私の学校からはこれまでに4人の学生がお世話になっていますが、彼らはみんな、日本に来る前から看護や福祉関係の仕事や勉強をしてきた人たちなので、病院関係のアルバイトをやりたいという本人たちの希望も強かったのです。そういう意味では、ベストマッチングができていますね。

中:出身国としては、最近はどこの国の方が多いのでしょう。

出川:数年前は中国人が多かったのですが、ここ2~3年は、ネパール、ベトナム、スリランカやミャンマーといった非漢字圏からの学生が多いですね。

中:国によって気質と言うか、性格的な違いというのはあるんですか?

出川:一括りにするのは乱暴ですが、あくまで傾向としては、スリランカなど南アジアの子たちは陽気ですね(笑)。ネパールの子たちは真面目。ベトナムやミャンマーの子たちはちょうどその中間的なイメージでしょうか。でも、基本的には、やはりみんな真面目ですよ。そして、言葉でのコミュニケーションにハンディがある一方で、とにかく笑顔が素晴らしい。

中:彼らの笑顔でのコミュニケーションは、本当に素晴らしいですよね。いつも明るい表情で患者様や職員の方々と接して、かわいがられているスタッフが多いんですよ。

出川:ええ、みんな素朴で、素直ですしね。学ぶ意欲も高いですし。

医療機関において、外国人スタッフが
違和感なく働けているのは嬉しいですね(出川)

中:先生としては、医療機関という仕事環境には、やはり安心感を持っていただけますか?

出川:それはありますね。時間帯も非常にありがたくて、例えばホテルでのベッドメイクなどの仕事は10:00~15:00が主流で、なかなか学生の空き時間とマッチしないのです。また、4~5時間の勤務ならともかく、2~3時間だけの勤務だと効率が悪い。ですが、病院の場合は、午前中なら7:30や8:00からスタートして、4~5時間の勤務ができるので、特に午後のカリキュラムを受けている学生には非常にありがたいのです。ご存知の通り、留学生には週28時間という労働時間の上限が設定されていますから、なるべく効率よく働きたいものなのです。

中:そうですね。朝から数時間働けて学校にも間に合うし、週28時間のMAXまで働けるのが嬉しいと言ってくれる学生さんも多いです。業務内容的にも、移送の際などに患者様とコミュニケーションを取れることが嬉しいという方が多いですね。病院で働き始めてから、日本語もかなり上達したという声もよく聞くのですが、みんな、日本人と話す機会が欲しいと考えているものなんですね。

出川:ええ、おっしゃる通りです。

中:ネパールの学生さんがいるのですが、患者様の「どこの国から来たの?」という質問に、ネパールだと答えると、みなさんから「(2015年の)地震は大丈夫だった?」と聞かれるそうです。彼は何度も同じことを聞かれているのですが、毎回、笑顔で、大丈夫ですよと答えていて…。彼らのあの笑顔は、患者様にとって非常に大きな癒しになっていると思います。

出川:そうであれば嬉しいですね。日本の医療機関では、まだ外国人スタッフがいる光景は見慣れないという意識もあるように思うのですが、そのあたり率直に、いかがですか?

中:確かに、このサービスをスタートした当初は、おっかなびっくりという側面もあったかもしれません。でも、実際に彼らが問題なく働いて、患者様とも仲良くさせていただいている姿を見て、今ではかなり違和感なく受け入れられていますね。すっかりなじんでいるじゃないか、頼りになるじゃないかと、医療機関側も安心してくださって。

正木:私がニュージーランドで働いていた時は、多民族国家なので、外国人の私が珍しがられることもなかったんですが、日本は99.7%くらいが日本人ですから、最初は違和感があるんでしょうね。でも、実際に働き始めたら、全然問題ないと分かってくる。

出川:今はあまり違和感がないと。それをお聞きして安心しました。文化や言語は違うけれど、ルールさえ把握すれば、彼らは非常に頼もしい存在になるのですから。何度も言いますが、本当に真面目ですし、パワーもありますし。

中:イレギュラーなことですが、最近では、外国人の患者様が来院された時などに、その国の留学生の方が通訳を頼まれることもあるそうです。

出川:日本では、外国人が働く際にはまだまだ制約も多いのですが、年々、海外からの留学生は増え続けています。少子高齢化の進むこれからの日本においては、彼らの労働力というのは今以上に活用を進めていく必要があると思いますね。

正木:彼らの活躍する場所が、もっともっと広がってくれたら、私たち看護師も非常に助かります!

中:そうですね。私たちA-LINEも、日本の看護現場にグローバル人材の活躍の場を広げていくために、力を尽くしていきます。おふたりとも、今日はありがとうございました。

出川正木:ありがとうございました。